東京アスリート認定選手・インタビュー(19)小田島理恵選手(小金井市、中央区) 車いすバスケット (2017/10/23)

小田島理恵選手の写真 

【プロフィール】
おだじま・りえ 1989年4月1日生 株式会社リクルートオフィスサポート所属
2016 国際親善女子車椅子バスケットボール大阪大会 4位
イギリス コンチネンタルクラッシュ2017 4位

~リハビリのつもりが、車いすバスケットボールの魅力に
惹かれ毎週練習に通うように~

小田島選手の写真1

小田島理恵選手は、22歳の時に事故で脊髄損傷不全麻痺になり、右下肢と体幹の機能が弱くなった。退院後、リハビリ目的で訪れた障害者スポーツセンターで行われていた車いすバスケットボール体験教室に軽い気持ちで参加したのが、小田島選手と車いすバスケットボールとの出会いだ。
 元々スポーツが大好きだったが、バスケットボールは休み時間に少しやったことがある程度だった。しかし、この一度の体験で高校時代に少林寺拳法部で毎日汗を流し、上を目指し全国大会へ出場していた時の良い思い出が蘇ってきた。以来、車いすバスケットボールの楽しさに魅了され、毎週車いすバスケットボールの練習に通うようになった。そしてもう一度スポーツで上を目指したいと、真剣に車いすバスケットボールと向き合うようになった。

~運命を変えた長野志穂コーチとの出会い。そして日本代表候補選手へ~

車いすバスケットボール中心の生活をしていきたいと、都内を拠点に活動する車いすバスケットボールチーム「GRACE」に登録。 そこで小田島選手は運命的な出会いをする。それが「GRACE」のヘッドコーチであり、日本代表アシスタントコーチでもある"長野志穂コーチ"だ。 小田島選手は長野コーチと出会う前に1度だけ日本代表強化指定選手の選考会に参加している。しかしその時は、まだ国内トップ選手のレベルに達しておらず悔しい結果に終わった。

小田島選手の写真2

その後、「GRACE」のヘッドコーチとして長野コーチが就任。初めて指導を受けた時、「この人について行けば必ず上手くなる。」と確信した。
 「今まで手探り状態で練習に取り組んでいたため、1つ1つの動きが『点』になっていたんです。でも長野コーチの指導のおかげでその『点』が繋がり『線』になったんです。」
 翌年、もう一度挑戦した選考会で、「ものすごいスピードで成長している。今後が楽しみ」と日本代表のコーチが絶賛するほどの成長を見せ、見事日本代表強化指定選手に選ばれ、世界を相手に戦うスタートラインに立つことができた。

~競技人口を増やすため、積極的にPR活動へ参加~

小田島選手の写真3

日々の練習の傍ら、小田島選手が必ず参加しているのが、車いすバスケットボールのPR活動だ。
 まだまだ一般的な認知度が低く、バリアフリー化が進んでいないことや、車いすによって床が傷つくのではないかという施設管理者側の懸念などの問題で、練習場所が少ないのが現状だ。車いすバスケットボールは、障害がある人と無い人が同じ条件で楽しむことのできる競技。そのため、より多くの人に体験会などを通して車いすバスケットボールの魅力を知ってもらい、競技人口の増加や練習環境の改善に繋げたいと活動を続けている。
 また、小田島選手は街中で車いすに乗っている人を見かけると声をかけ、車いすバスケットボールの練習に誘っている。
 「車いすを漕いでいる姿を見ていると、この人はバスケットボールに向いているな~というのが分かるんです。一度、声をかけた方が、GRACEの元選手だったということもあったんですよ(笑)。」
 日本代表強化指定選手になった現在も、精力的にPR活動を行なっている。

~目指すは東京2020パラリンピックの大舞台~

今年5月、日本代表強化指定選手になってから初めて海外での試合に臨んだ。結果は負けてしまったものの、パワーや体格の差がある中、試合はワンゴール差の接戦。 去年1年間でフィジカルを徹底的に鍛え上げる合宿を行ったことで、「やっと世界に通用するプレーができ始めた。」と成果を実感することができた。 その中で、"アウェイ戦での空気感にのまれず、自分をコントロールする事"という新たな目標も見つかった。

小田島選手の写真4

また、日本代表強化指定選手になり、練習環境が大きく変わったことも東京2020パラリンピックへの想いをさらに熱くさせた。
 「2020年に近づくにつれて周りの応援もとても大きくなっています。その中で強化指定選手として、日本代表候補の選手と一緒に高いレベルで合宿を行うことは、間違いなく自分にとってプラスになっています。練習をすればするほど、海外の強豪選手を相手にして活躍したいと強く思うようになりました。」
 これからの小田島選手の活躍が楽しみだ。

~小田島理恵選手の勝負飯!~

元々甘いものが大好きだという小田島選手。そんな小田島選手の勝負飯は"和菓子"だ。 ある時、カステラやどら焼き等の和菓子を食べて試合に臨んだ時の身体の調子が良いことに気づき、以来、試合前には必ず" 和菓子"を食べる習慣がついたのだとか。試合中は、キレのあるプレーを見せてくれる小田島選手だが、「甘いものが大好きなのでついつい食べ過ぎてしまいます(笑)。」と可愛らしい一面も垣間見えた。

~小田島選手の休日の楽しみ方~

合宿や試合などで、日本や世界を飛び回る小田島選手の楽しみは、「スターバックスに行くこと」。 ドリンクを楽しむのはもちろんだが、以前、プレゼントでスターバックスカードをもらい、そのデザインの可愛さに惹かれたという小田島選手は、必ず地方や時期で異なるデザインのカードを買ってコレクションしている。一番のお気に入りのデザインは「清川あさみさんのデザインで、蝶のイラストが金色でたくさん描かれているカードです。もちろんデザインも素敵ですが、"自分の生きる人生を愛そう、自分で自分に新しい風をおこそう"というメッセージが込められているそうで、私もそういう生き方をするぞ!と思って…♪」と嬉しそうに話してくれた。